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高級低反発マットレスで痛みが助長?! 重要なのは寝返りだった

みなさん、こんにちは! 理学療法士の青山遥(アオヤマヨウ)です。

「快適な生活は正しく食べて、正しい姿勢から!」をモットーに練馬区・豊島園で理学療法サロン『AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)[旧店名:mamasalon aoyama]』を営んでおります。

今回のテーマは、身体を包み込むような寝心地の低反発マットレスの功罪についてです。

合わない「マットレス」が自己治癒力を消す?

寝起きの身体の痛みに微妙に悩まされ続けているお客様から、高級な低反発素材のマットレスに変えてみたところ、逆に痛みが出た時期があった。あれはいったいなんだったのだろう? というようなご相談を受けました。

低反発素材のマットレスにも様々な種類があります。マットの「柔らかさ」、「硬さ」は、一般的にはたんなる「好み」の問題と捉えられがちですが、実は違うんですね。快適な身体を維持しつづけるには、ご自分の身体の症状と合った硬さのマットレスをチョイスせねばなりません。今回、私に相談してくださった方は、ご自分の身体の状態には柔らかすぎるマットレスを買ってしまっていたようです。いくら世評の高い、高級な商品だからといって、その方の身体に合うかどうかは、わからないのでした。

たとえば元気な子供たちのように、ご老人が激しい寝返りを打って眠っている姿は想像できないですよね?

下手すると寝ている姿勢が仰向けのみ、あるいは横向きのみといった単一姿勢となってしまっている方も大勢いらっしゃいます。こういう状況下では、身体の負荷分散を手伝ってくれるタイプのマットレスはとても有効といえるでしょう。

しかし、以前も申し上げたとおり、睡眠中の寝返りは、健康維持の観点からとても大事です。寝相の悪さも、実は昼間に歪んでしまった姿勢を自ら矯正している『自己治癒力』が発揮された結果のひとつなのです。

それゆえ、きわめて柔らかく、身体をふんわり受け入れてくれる低反発マットレスは、とても魅力的に見えるかもしれませんが、自分に本当に合った硬さの製品でないかぎり、寝ている時に身体は身動きがとれず、寝返りも打てず、自己治癒能力を発揮できぬまま朝になってしまう可能性があるのです。大事な自己治癒力といった潜在性を消してしまう可能性があるということですね。

病院の治療ベットはなぜ固めなの?

病院のリハビリ室の治療ベッドは、比較的固く作られています。なぜでしょうか? 人が、ある姿勢から次の姿勢へ移行するためには『床反力』が必要だからです。

リハビリで行われるプログラムに『起居動作練習』というものがあります。文字通り、ベッドに寝た状態から、立ち上がるまでの訓練です。

具体的には、仰向けから寝返りを介して側臥位(=横向きに寝ている姿勢)へ。側臥位から、起き上がりを介して座位へ……といった具合に、ある姿勢からある姿勢へと姿勢を移行させる際は、重心の移動を伴います。そして、その時には床反力が必要となります。

わかりやすくいうと、人間は歩く時も、床を蹴って、そのチカラを利用して、前に進んでいきますよね。ベッドに寝ていて寝返りを打つ、あるいは姿勢を変えるという時にも、身体を沈めこませる柔らかさでは、むしろ不都合が多く、マットレスにある程度の硬さがあるべきなのです。

ある程度の硬さがなければ、床反力が足りず、反動を用いた動作がしづらいのです。

意識があれば、それなりに考えて身体を動かせるでしょうが、寝ている時はそこまで脳を働かせることはできませんよね。ですから、寝ている時の姿勢変更などを阻害しかねないのが、身体をすっぽりと包み込んでしまうほどに柔らかすぎる低反発マットレスなのでした。

理学療法士が「マットレス」を選ぶ時の着目点

私は病院勤務時代のある時期、訪問リハビリに携わっていました。その時は、利用者さんの介護ベッドの選定によく携わっていたものです。

福祉機器の業者さんやケアマネさんは、とにかく柔らかめの「低反発マット推し」です。流行りはじめていた時期だったということもあるし、「その方が褥瘡(じょくそう)つまり床ずれが予防できるし、負荷を分散してくれるから、身体の負担が少なくていいでしょ?」などというのですが、これは浅はかな考え方だといわざるをえません。

寝返りも打てないほど、身体能力が落ちてしまった、つまり本当に寝たきりの患者さんであれば、僕も低反発マットレスの使用を支持します。しかし、普通に起居動作ができる方、あるいはそれができるようになる「潜在性」がある方については、極端に柔らかい、低反発マットレスは推奨できません。いかに高級品であったところで、同じです。あくまで硬めのものを用いるべきだと提案するでしょう。

身体が動かなくなり、つまり身体機能が落ちてしまうと、健康だった頃の自分がどうやって寝起きしていたかが、わからなくなってしまいがちです。そういう利用者の方には、まず仰向けの体勢から寝返りして、横向きになることから指導します。横向きの姿勢を取ることは、ベッドから起きるための主要動作のひとつです。

そうであると同時に、自らの意志で横向きになることができるのは、先程お話した『自己治癒力』の役割も果たしているのです。寝たまま、身体を動かさない事でおこる弊害は多々あります。寝返りをしないと腰の筋肉が固まりやすく、血液循環も滞りやすいので、身体は如実に悪化します。それゆえ、柔らかすぎる低反発マットレスの使用は、理学療法士である僕の中では『最終手段』といわざるをえないのです。

理学療法士の腕の見せ所は患者さんの身体の潜在性を最大限に引き出す事です。マットレスを患者さんにとって適正な硬さにする事で、その方の能力を最大限に引き出すことができるのです。それが結果として、患者さんの日常生活動作(ADL)やQOLの向上に繋がり、介護する家族やヘルパーさんの負担軽減にもつながるのですね。さらに、先程申し上げたとおり、日々の生活にリハビリや自己治癒力向上のエッセンスを含ませることもできます。

普通に寝起きもできれば、仕事も出来ている方も、マット選びは注意してください。横たわった時の安楽さを重視し、「柔らかいほうが気持ち良い」というような”好み”や、広告で盛んに訴えられているような『寝ている時の身体の負担軽減』の観点に固執するのは止めましょう。

『寝た状態でどれだけ楽に身体を動かせるか、姿勢変換することができるか?』にしっかりと着目してください。やや固めのマットレスが「最適解」だということになりますが、そうすることで、よりよい目覚めを迎えることができるでしょう。

体重や体調も考慮して選びたい!

そして、柔らかすぎる低反発マットレスにしたことで、逆に身体が痛くなった方には、理学療法士としてもう一つ、アドバイスできることがあります。

まず、「身体のベースが歪んでしまっているのでは?」という懸念がありますね。

そしてあなたの体重はどうでしょうか。マットレスの上でも身体が重ければ重いほど沈みこんでしまいやすいのです。

この2つの問題要素は連動しています。もし身体に病的な歪みがあったなら、その歪みは体重増加と共に助長されやすいのです。それゆえ、寝ている時に負荷分散すればよいといわれがちですが、すでにお話したとおり、柔らかすぎるマットでは寝返りが打てません。体調・体重に見合った硬さをぜひ、選んでくださいね。

余談になりますが、赤ちゃん用のマット選びにも一言。よく後頭部が「絶壁」になることの予防として、低反発マットレスを選んだり、真ん中が凹んでいる枕を使用する例があります。

これについては賛否両論ですが、理学療法士からは、柔らかすぎるマットレスの使用はお勧めできません。それが赤ちゃんの身体発達を妨げ、その潜在性を消してしまう可能性があるからです。適度に硬く、床反力がしっかりかえってくるものを選んでいただきたいものです。

柔らかすぎるマットレスでは、赤ちゃんが寝返りを覚える時期を遅らせてしまいがち。その結果、仰向けになっている時間が長くなってしまい、逆に後頭部が「絶壁」になってしまうのでは……と私なら考えます。

ベッドのマットレスひとつでも、寝ているときだけでなく、昼間の生活の快適さも変わります。値段が高ければ、高級品だというブランドさえあれば、もしくは有名人が勧めているから、あなたにとってその製品が良いというわけでは絶対にありません。ご自分に合ったマットレスがわからないという方は、施術の際に、ぜひご相談くださいね。

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