デスクワーカー必見!腱鞘炎は、なぜおこる?
みなさん、こんにちは! AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)の青山遥(アオヤマヨウ)です。
約12年間の総合病院での理学療法士としての臨床経験をベースに、練馬区豊島園で理学療法サロンAOYAMA STYLE(当初の店名は「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」でした)を営んでおります。
関節の一部に負荷が集中しつづけた末に発症する腱鞘炎。特別な職業でなくても、長時間、パソコンの前で、前後左右に身体を曲げて座っていたデスクワーカーにも発症するケースが急増中です。手先・足先など身体末端部に出る不快症状の多くは、背骨や骨盤の歪みに起因します。正しい姿勢の維持に努めましょう。
その痛み、「限界」のサインかも?!
腱鞘炎といえば、ピアニストやヴァイオリニストなどの楽器演奏者、あるいはラケットを握るテニス選手など、手指・手首を酷使する職業の人だけの病だと思っていませんか?
実はそうではありません。
腱鞘炎に悩むデスクワーカーは案外、多いものです。
AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)にも多くのデスクワーカーの方が、手首の腫れ、痛みといった腱鞘炎の症状で来院なさいます。また、指先の感覚が鈍くなった(感覚鈍麻)という方もいらっしゃいますが、これらもすべて問題の根っこが同じだといえます。
それは長時間、パソコンの前で、前後左右に身体を曲げて座っているケースが本当に多いからです。
長時間のハードなデスクワークの末に感じられる不快症状といえば、誰もがまず思い出すのが腰痛、肩こり、首痛、頭痛などではないでしょうか?
たしかにそのとおりです。しかし、こうした不快症状は、身体からのあなたへの「改善要請」であり、大事なメッセージを含んでいるのです。
「座った時の姿勢を改善してくれ」「長時間、座りっぱなしはまずい」……そういう身体からのメッセージを、とくに考えることもなく、その場しのぎでロキソニンを飲んだり、湿布薬を貼ってごまかしたり、あるいは「そのうちよくなるだろう」と我慢しつづけているうちに、症状が思わぬ悪化を遂げることはよくあります。
頭痛などの症状が治るどころか、ひどくなってくるにつれ、なぜか腱鞘炎や、指先の感覚鈍麻まで発生し、「さすがにこれはやばい」と当サロンにいらっしゃるケースが最近目立つのです。
ここまでお話しても、「本当にデスクワークで手を痛めるの?」「長時間座っての作業ならば腰や首だけに負担がくるものじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
意外と手首や指先に症状が出る方も多いのです。
そして、それは不良姿勢による身体の歪みが「限界」にきてしまった危険なサインでもあるのです。
デスクワークで体に悪影響となる椅子は?
以前、コラムの中で、長時間のデスクワークでも、身体にダメージが出にくいテーブル、椅子の選び方についてお話しました。
まとめると、テーブルは、天板の位置(高さ)が、ご自身のみぞおちより、すこし高いものを選ぶとよいでしょう。椅子については、座り方が大事です。
- 椅子の背もたれに背中をあずけ、腰の角度を90度にする。
- 両足の裏を床にピタッと付け、膝が90度になる姿勢を保ちつづけることを意識し、姿勢が崩れていることに気づいたら、すぐに立て直す。
- 長時間座っていると、足が前や後ろに出てしまったり、身体が左右に傾いたりしがちという人は特に気をつける。
というようなことをお話しましたね。
今回、特に気をつけていただきたいのは、「3」です。
ネットで「デスクワーク」「よい姿勢」といったキーワードで検索すると、「椅子の背もたれに背中をあずけ、腰の角度を90度にする」という情報はイラストつきでよく出てくるのですが、「足が前や後ろに出てしまったり、身体が左右に傾いたりしがちという人は特に気をつける」という点に触れた記事はほとんど出てきません。
パソコンの液晶画面に対して、左右の肩が前に入り込んでいるような姿勢を取るのが癖になっていませんか? とくにデスクチェアのように、左右にくるくると回転するタイプの椅子を使っていると案外、この現象は起きやすいです。
本当に長時間同じ姿勢でいることもよくないので、回転したり、姿勢に変化をつけることはよいことです。しかし、変化をつけたままの姿勢(=正しい姿勢とはかけ離れた姿勢)で、液晶画面に没入してしまうと、これはよろしくないのです。
思い当たる方がいらっしゃったら、それは腱鞘炎や手指の感覚鈍麻を引き起こしうる、かなり危険な行為ですから、すぐに改めるようにしてください!
先日、右手の腱鞘炎の悩みで当サロンにいらっしゃったお客様の手を拝見すると、手首の動かし方、肘を曲げ伸ばしする際に描く軌跡などが「正常動作」から逸脱してしまっていることがわかりました。
正しい位置で動かしている時の手や肘の関節は、関節へかかる負担を関節全体で分散できているので、効率よく、負担なく、動かせるのです。
しかし、このお客様は、仕事に集中すると、どうしても右肩、右肘がグイッと前に突き出たような不良姿勢を取るクセがあり、しかもそれを長時間続けてしまうため、いわゆる「巻き肩」として、身体の歪みが固定化されていたのです。
その結果、この方のデスクワークは右腕全体が内側にねじれた姿勢で行われ、その結果として、手首や肘の関節が正しい位置で機能できなくなっていました。それは関節のごく一箇所だけに負担が集中することを意味します。些細に見えても、そういう積み重ねで、腱鞘炎を発症してしまったのだと考えられました。
深刻な状況になる前にできるコト
もっと怖いことになるのが、腱鞘炎を我慢し、放置しておいたケースです。とくに指先や手のひらの痺れまで表れてくると本当に危険です。指先や手のひらの痺れは首、あるいは肩まわりで神経の圧迫が起きているときに発生する症状だからです。
これはひどくなると「頚椎症」や「胸郭出口症候群」といった診断名が整形外科でついてしまう恐れもある神経症状です。当然のことですが、そういう病名がつく状態まで悪化していると、完治できたとしても、それまでにかなりの時間とお金がかかってしまうものです。
先程からご紹介している、右肩を前に突き出した姿勢でデスクワークを続け、腱鞘炎を発症したお客様ですが、この方にも、腱鞘炎よりさらに深刻な症状が発現する一歩手前の兆候が感じられました。
姿勢の歪みや、正常動作から逸脱した日常生活の積み重ねが、これらの不快症状の主な原因です。これはつまり、症状は指先や腕の末梢に出ますが、原因は頚椎や鎖骨付近の体の中枢部にあるということです。ただでさえ身体にはきつい長時間のデスクワークに、不良姿勢を取る悪い癖が重なり、このような神経症状が表れてしまっていたのです。
仕事中の姿勢を正すことは、これからも健康に生き、たくさん稼いでいくためには必須の人生の「土台作り」だといえます。少しでも気になった方は、今すぐ「土台作り」を始めましょう!
また、今回お話してきた手首の問題に限らず、足先や膝など身体の末梢部に慢性的な症状が出ているのであれば、それも同様の注意が必要です。
手足は脊椎や骨盤といった身体の中心部から遠い部位ではありますが、不良姿勢の積み重ねで、脊椎や骨盤の歪みが限界に達した結果、手足などにも負担が生じ、それが不快症状にもつながっているケースがとても多いのです。
腱鞘炎の解決策は意外なところに。
今回のお話をまとめましょう。
結論
デスクワークによる身体の症状は首、肩、腰に出るケースがほとんどだと思われているが、手首や肘といった腕にも痛みや痺れが出るという形で連動してしまうことが多い。そして、それは姿勢の身体の歪みが限界にきてしまったサインでもある。
理由①
腱鞘炎といった手首の腫れや痛みは、姿勢の歪みに起因する、間違った手首の使い方をしていたから。
理由②
指先や手のひらの痺れは首、あるいは肩まわりでの神経の圧迫が起きていたから。
巷の整体やマッサージで治したつもりがすぐに痛くなって、また治すことを繰り返した末、もうどうにもならなくなって、病院で厄介な診断名がつき、症状は慢性化……という悪循環になりかねません。
症状がぶり返す場合、手や足に出ている慢性痛の根本的な原因は何なのかを探る必要があるのです。
そして、多くの場合、それは姿勢の歪みに起因しているのです。
身体の根本的な改善を目指すためには、姿勢を正すことが必要です。そして、それは身体の土台である背骨や骨盤を整えることの重要さにもつながっているのでした。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。
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