本当は怖い「サポーター」の話<対症療法の危険性>
みなさん、こんにちは! 理学療法士の青山遥(アオヤマヨウ)です。
「快適な生活は正しく食べて、正しい姿勢から!」をモットーに練馬区・豊島園で、理学療法サロン『AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)[旧店名:mamasalon aoyama]』を営んでおります。
今回は、痛みから解放されたくて、その場限りの対症療法に依存しすぎることの怖さをお話したいと思います。
理学療法士として病院勤務時代、私がよくリハビリを行っていた疾患に『変形性膝関節症』や『肩関節周囲炎(俗にいう五十肩)』、『ぎっくり腰』などの「整形疾患」があります。もちろん、開業した現在でもそういう疾患を抱えたお客様の施術をしております。
リハビリを実施していく中で強く感じたのは、「対症療法への過度な依存の恐ろしさ」です。
依存しすぎると対症療法無しでは生きられないカラダに…
たとえば、こんな患者さんがいらっしゃいました。
変形性膝関節症で、「膝が痛い!」というご高齢の患者様。
その多くは女性の方でしたが、医師からサポーターの装着を勧められ、常時サポーターを装着してしまっていたのです。
そのうちサポーターを付けていても、痛みが取れなくなったので、膝にヒアルロン酸注射を打ってもらい、それで痛みが緩和するようになります。
痛くなったら、注射を打つことを何度も繰り返しているうち、膝の変形は年々、悪化していく……最後は手術で人工膝関節になってしまう。
判を押したように、同じ経過をたどる大勢の患者さんをたくさん見てきたのです。
他には、こんな方もたくさんいらっしゃいました。
五十肩で整形クリニックを受診。週1〜3回、クリニックで電気治療、温熱療法を続け、その直後は痛みが緩和しているが、根本的な治癒に至らぬまま、クリニックに通い続ける。
そのうち電気治療では痛みは治らず、ロキソニンなどの消炎鎮痛剤を飲み続けることになってしまう……などなど。
「対症療法」は、その場では痛みを和らげてくれるのでとても素晴らしいわけですが、理学療法士の観点からは、それに当然のように依存しているのは、根本的な原因を解決させるどころか、逆に悪化させてしまう恐ろしい行為だと思われてならないのです。
対症療法に頼り切りで、症状を悪化させていく患者さんを何人も見たことが、その後の私にママサロンを開設させるきっかけの一つとなりました。これまで何度もお話してきたことですが、病名や診断名がついてからのリハビリではなく、診断名がつく前のリハビリ、そして治療を行うことの大切さを痛感させられたからです。
もし、みなさんの中でもその場しのぎの対症療法に疑問を感じたのであれば、理学療法士に一度相談してみることをオススメいたします。
サポーター等の対症療法が有効なケース
当サロンでは『予防医学』の観点をもっとも重視しています。その予防医学の観点でみると、整形外科のクリニックなどで日常的に、ごく普通に勧められているサポーターの常用も、極力お勧めしたくはないことの一つです。
膝や腰につけるサポーターは、その部分にあらわれた痛みなどの疾患のうち、「炎症期」という段階の痛みの発症時に「のみ」つけるべきものなのです。
「炎症期」を終えて、サポーターを外せて、そのまま生きて行くぶんには何の問題もないのです。しかし、症状が「回復期」を迎えた後でも、痛みなどが残ることがあります。それは「慢性期」の痛みなので、本来はサポーターに依存することはよくないのです。
サポーターも外していくことが理想なのですが、中には『心配だから』『着けていると楽だから』といって常時着用してしまうケースがあります。サポーターは、患部が痛くならないよう、サポートしてくれていますが、どうしても同部位の筋肉を弱化させてしまうのです。それゆえ、サポーターを外した時には姿勢が歪みやすくなりますし、もしくはサポーターを外せない身体になってしまう恐れもあるのです。
サポーターだけでなく、ロキソニンといった類の鎮痛剤を常用してしまっているケースも、よろしくないといえます。
過度のデスクワークなどが原因で、頭痛持ちの方が増えています。すると、最近は薬局でもかんたんに買えるので、ロキソニンなどの鎮痛剤を飲み続けてしまうのです。
忙しさは変えられなくても、デスクワーク時の姿勢やデスクまわりの環境、仕事の合間のセルフケアを見直せば、治せる頭痛もありますよ。
サポーターも、お薬も怪我や病気の修復過程において、必要なタイミングで服薬、着用し、回復段階に合わせて外していくことがとても大切なのです。けっして常用していくべきものではありません!
外すべきタイミングを逸し、慢性的に使い続けることは、むしろ「恐ろしいこと」なのです。逆にリハビリをきちんと行い、症状や姿勢が改善し、サポーターを外すことができたり、薬をやめることができた時のお客様の喜びは忘れられません。
健康であるために……
確実に病気だと診断される前なのに、そして、まだ症状が重度でないのに、サポーターや薬に依存している方ほど、
『正しい姿勢で1日を過ごし、1日に必要な栄養を摂り続ける』
ただ、これだけシンプルなことを守ることができれば、かなりの確率で対症療法の蟻地獄から抜け出し、健康に戻ることができるはずなのです。私はそんなお客様をたくさん見てきました。
もちろん疾患やその重症度にもよりますが、「自己治癒力」が誰の身体にも、どんな年代の方の身体であっても備わっているということを私は信じてしますし、それが何より大切だと感じるのです。
何歳になっても、自分の身体は、自分で治すことができるものだと思います。人の身体には、その潜在性(ポテンシャル)があるのです。それを自ら諦め、放棄し、その場限りの効果しかない対症療法に依存しつづけることは、お金もかかるし、健康も損ねるし、メリットよりデメリットが上回る、非常に残念な行為だと認識してください。
繰り返しになりますが、当サロンにまだいらっしゃっていない患者さんの身体の潜在性(ポテンシャル)を引き出すため、理学療法士である僕ができる事は何かというと、
それは『正しい姿勢で1日を過ごし、1日に必要な栄養を摂り続ける』というモットーを、みなさんに説き続けることです。
正しく食べて、正しい姿勢。
ただこれだけのことですが、この当たり前のようであたりまえにできなくなってしまったことを、もう一度、できるようになるまでお手伝いすることが僕の生きがいであり、大切な仕事だと感じています。
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