ひじの痛みが再発する人に共通する“ある習慣”

ママサロン・アオヤマの青山です。本日は、2Lのペットボトルが6本入ったダンボールを片手で持ち上げた際に発生したひじの痛みが1ヶ月半も続き、当サロンにご来店いただいたお客様の治療から気づいたことをお話します。
ひじ関節は、腕の曲げ伸ばしを行う際、とても重要な部分です。
ひじより上の「上腕骨」と、ひじより下の「橈骨」と「尺骨」という3つの骨を動かすことで、腕の曲げ伸ばしが成立します。
人間の腕は手首をくるくると「回旋」させながら、たとえば親指を上にした状態、あるいは手のひらを上にした状態などでも、曲げ伸ばしすることが可能です。こういう複雑かつ自在な腕の動きに大きく貢献している骨が、本日のメインテーマである「橈骨(とうこつ)」なのです。
橈骨が前に、後ろに向かってねじれることで、腕は多種多様な動きをすることができます。日々、自然に行っていることですが、意識するとなかなか複雑な動きの組み合わせであるとわかるでしょう。
このように橈骨は可動性が非常に高い反面、何らかの拍子で、ずれてしまいやすいという特徴もあります。そして橈骨がずれたままで動かそうとすると、ひじの痛みが起きてきやすいのです。
ペットボトルの入った箱を片手で持ち上げようとしてから、ひじの痛みに悩まされるようになったお客様も、こうした何気ない日常動作がきっかけで、橈骨がずれてしまったことがしつこい痛みの原因となっていたのです。
あなたの腕にも起きているかも?ズレの原因とは
橈骨が、ずれてしまう原因にはどのようなものが考えられるでしょうか?
原因① 突発的にひじに負担がかかったから

重い荷物を不意に持ち上げたり、飛び込んできた子供を、いつもとは違う姿勢で持ち上げてしまった際などに、橈骨のずれは生じやすいです。
原因② 慢性的な不良姿勢をとっていたから

いわゆる巻き肩、猫背、ストレートネックなど、歪んだ姿勢をとりつづけた人特有の間違ったひじの使い方が、ひじの負担を増加させ、橈骨もずれていつしかずれていってしまったケース。
……以上が典型的な橈骨のずれの原因です。
今日お話するお客様は、まさしく原因①、つまり、突発的なひじへの負担が原因で橈骨がずれてしまっていたようですが、デスクワークなどによる、長時間の不良姿勢を取りがちな方、もしくは授乳したり、長時間、お子様を抱っこして移動しているなどお客様は、原因②で、ひじに痛みが出てきます。
どちらにも共通していることは、橈骨がずれて、腕を動かしたりするたび、負担が一箇所に集中することで痛みが発生するということです。
「最近、ひじが痛いなぁ」 「湿布を貼ったのに、ひじの痛みがずっと治らないなぁ」という方も、橈骨がずれてしまっているのかもしれませんね。
理学療法士が教える!ひじの痛みをラクにする秘密
そのひじの痛み、もしかして“骨のズレ”が原因かもしれません。
しかし、これらの橈骨のずれによるひじの痛みは理学療法士の治療で、比較的、容易に治ります。
【治療のポイント】
ポイントは「橈骨輪状靱帯」です。
「橈骨がずれる」ということは、橈骨の先端である「橈骨頭」が、関節の靭帯(=2つの骨を結合する線維性の強靱な結合組織の束)から少し、抜け出してしまった状態です。
結合しているべき状態から骨が抜け出てしまっていることは、ひじ関節周辺にさまざまな不具合を生じます。ですから、橈骨頭を橈骨輪状靭帯に、再びはめこまなくてはなりません。
この治療を行うだけで、ほとんどのお客様のひじの痛みは比較的すぐに改善されます。
しかし、本当に大切なのは、治療後の生活姿勢の見直しなのです。
ひじが痛いのであれば、ひじという部位だけを治して、それだけで「良し」とするのではなく、痛みの根本的な原因を追求し、全身調整を行なわねばならないからです。
そういうふうに意識の切り替えを患者さんにしてもらうことが何よりも重要です。橈骨が再度、ずれてしまわないような身体へ導くことが、理学療法士の腕の見せ所なのです。
最後にひじの痛みを発生・再発させぬよう、日常生活で意識していただきたいことをお伝えします。
繰り返さないために“意識したいこと”
【手のひらや親指の位置によって、ひじを曲げる筋肉は違ってくる】
ひじを曲げるときに使う筋肉は、下のイラストのようにひじより上の筋肉と、ひじより下の筋肉に大きく2つに分けることができます。

そして、ひじを痛めてしまうお客様のほとんどが、ひじより下の筋肉ばかりを優位に使う習慣を身体に染み込ませてしまっているのです。
お客様の日々の動作を掘り下げ、調査してみると、親指が上、あるいは手のひらが下を向いたままひじの曲げ伸ばしをされている方がほとんどでした。
「親指とか手のひらの向きなんて考えたこともなかった」という方が圧倒的多数でしょうが、実はその向きと、猫背や巻き肩など、日々の不良姿勢は密接に関係しており、そういう方ほど親指は内側に向かってねじれやすく、そのままの状態でひじを動かす傾向にあるのです。
そういう腕の動かし方では「ひじより下の筋肉」ばかりを使ってしまい、それがひじの痛みにつながる危険性があるのです。
対策としては、腕を動かす時に、手をひろげること、親指を内側ではなく、外側に向けること、さらには胸をなるべく広げるようにして生活することを日常的に意識してみてください。
そうしているだけでも「ひじより上の筋肉」も使えるようになっていきますから、腕の曲げ伸ばしの際に使う筋肉の部位が、ひとつだけに集中してしまっていたがゆえのひじの負担が軽減され、橈骨もずれず、痛みも発生しにくくなります。
ひじの痛みに悩んでおられる方は、こういう日常的な動作の改善をまず試していただければ幸いです。正しい知識をインプットし、日々の生活に活かすことができれば、それだけで橈骨のずれによるひじの痛みの発生率や、再発率はグンと下がりますよ。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本日のまとめ

- ひじの痛みが長引く原因の多くは、「橈骨(とうこつ)」のズレ
- 湿布やモーラステープだけでは完治しない
- 橈骨の位置を戻す施術で改善するケース多数
- 再発防止には、日常の姿勢改善と正しい腕の使い方
- 手のひら・親指の向きを意識することがカギ
- 定期的なメンテナンスで慢性化を防ぐ
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