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急性腰痛(ぎっくり腰)と慢性腰痛の違いとは?!<はじめてのぎっくり腰が慢性腰痛へ…>

みなさん、こんにちは! 理学療法士の青山遥(アオヤマヨウ)です。

「快適な生活は正しく食べて、正しい姿勢から!」をモットーに練馬区・豊島園で、理学療法サロン『AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)[旧店名:mamasalon aoyama]』を営んでおります。

腰の痛みや違和感に悩む人は多いですよね。当サロンにも多くの患者さんがいらっしゃいます。しかし、その痛みがいわゆる「ぎっくり腰」ーーつまり医学用語でいう「急性腰痛」であるか、あるいは「慢性腰痛」であるかによって、われわれ理学療法士の対応はかなり異なってくるものなのです。

ぎっくり腰と慢性腰痛の一般的な原因と対処法を、表にしてまとめてみました。

ぎっくり腰慢性腰痛
原因期間突発的な局部への負荷
(L3,L4が好発部位)
・持続的な局部への負荷
・心理的ストレス
偏った食生活
期間発症〜4週発症〜3ヶ月以上
炎症反応ありなし
対応炎症がおさまるまでは基本は安静。
しかし、後に慢性化しないために早い段階で、理学療法士による適切な施術を受けることが望ましい。
損傷された筋、靭帯などの軟部組織が柔軟性を失い固くなっているので、温熱療法やストレッチなどで本来の柔軟性を取り戻していく。
同時に、負担を全身に分散できる身体作りを行うことが望ましい。

同じ腰痛でも、ずいぶんと対応が違うんだな、とわかっていただけたでしょうか。

より厄介なのは、激しい痛みを伴うという理由で「ぎっくり腰」といえるでしょう。しばらく寝たきりというケースも珍しくありません。

ぎっくり腰の原因を、理学療法的な用語を使って説明すると、

腰椎の一箇所に、かなりの重さの負担が、それも急激にかかって発症したと考えられています。

ちなみに、それ以外の腰痛=慢性腰痛は腰椎の歪みにより、ある一定の一箇所に持続的に負担が集中している状態です。

ぎっくり腰は、それまで腰痛とは縁のない生活を送っていた人にも起きうる”事故”のようなものといえるでしょう。ただ、慢性腰痛だからぎっくり腰にはならないで済むというわけではありません。慢性腰痛の患者さんには、腰痛知らずの生活を送っていた人に比べ、比較的高い確率でぎっくり腰「にも」なりやすい素地があるのです。

一度、ぎっくり腰になってしまうと日常生活に大きな負担をきたしますから、とにかく予防が大切です。腰のストレッチなど、日頃からセルフケアを行っていきましょう。

子供の抱っこがぎっくり腰を誘発する理由

さて、お話をぎっくり腰になってしまう理由に戻しましょう。繰り返しますが、腰椎の一部に、急激な、それも大きな負荷がかかったことが原因となって起きるのがぎっくり腰ですが、ママサロンに駆け込んでくる患者さんの中には、不幸にしてお子さんを抱きあげた時に人生初のぎっくり腰を経験したというママやパパも多くいらっしゃいます。

しかも困りものなのは、ぎっくり腰をきっかけに、大半の方が慢性的に腰痛に悩まされることになるということでしょう。

人生最初のぎっくり腰がきっかけの慢性腰痛にくわえ、ぎっくり腰も頻発するようになったという悲惨なことになる方が非常に多いのです。

子供のだっこが、ぎっくり腰を誘発する理由は、理学療法的にハッキリしています。

上の図の左が、ぎっくり腰になってしまいやすい危険な子供の抱き上げ方です。足は曲げず、腰だけを曲げて、子供を持ち上げようとしています。子供は急に「抱っこして!」といいますし、何らかの理由ですぐにでも抱き上げてあげなければいけない場合もあります。しかし、これは本当に腰に良くないのです。

この抱き上げ方だと、動作の支点が腰となっています。つまり、子供は実はだいぶ重たい存在ですから、彼らを持ち上げようという瞬間、腰の一部に負担が一極集中してしまうので、ぎっくり腰にもなりやすいのでした。

子供さんとの楽しいスキンシップの時間のはずが、「あれが地獄の苦しみのはじまりになった」などと後で後悔しないでいいようにするには、抱っこのやり方を今すぐ変える必要があります。

上の図の右のイラストを見てください。ぎっくり腰を誘発しない理想的な抱っこの方法としては、腰を曲げるのではなく、面倒でも膝と股関節を曲げて、軽くしゃがむような姿勢で、子供を抱きとめ、持ち上げるイメージで動くことが推奨されます。

子供を持ち上げるときに股関節と膝を曲げた姿勢を取っていると、大腿四頭筋や腓腹筋・ヒラメ筋、大臀筋・ハムストリングスといった足の筋肉と体幹の筋肉を総動員して、身体にかかる負担を『分散』することで抱っこができるのでした。
ぎっくり腰=急性腰痛の原因を思い返すと、背骨=腰椎の一箇所に、かなりの重さの負担が、それも急激にかかって発症するものですから、このように下半身の筋肉の多くを連動させて抱き上げれば、ぎっくり腰になるリスクをぐんと下げることができるのです。

骨格の違いでぎっくり腰のリスクが変わる?!

しかし、抱き上げ方をいくら工夫しても、残念ながらぎっくり腰になってしまいやすい骨格というものがあります。

上の図のように背骨に特有の、よくない歪みを抱えている方はぎっくり腰になりやすいのです。

本来の健康な人体では、上の図の真ん中のように、背骨にS字を描いたカーブが2つあります。この生理的歪曲によって、たとえば抱っこしたときの負荷も全身に分散させることができているのですが、上の図の右端のイラストのように、背骨にS字のカーブが存在しない『Cカーブ』であったり、左端のイラストのように横に歪んでしまっている場合は、負担をうまく分散させることができません。

このように好ましくないカーブが発生している背骨になってしまう原因の多くは、長年の生活習慣なのですが、のぞましくない歪みを抱えた身体では、ぎっくり腰などの故障が出るのは時間の問題だったりします。

なぜなら、2箇所のS字カーブが存在しない背骨は、様々な負荷を全身に分散させることができず、既に一箇所だけに負担が集中している状態なのです。それなのに、抱っこというそれなりの負荷をかけてしまうと、背骨が追い打ちをかけられて大きなダメージを受け、それがぎっくり腰という症状となって発現してしまうのでした。

子供の抱っこ以外でも、家庭生活を営む上でたとえば、2リットルボトルがたくさん入ったダンボール箱を運んだり、コメの袋を戸棚から取り出したり……、そういう日常的な動作の中にも、ぎっくり腰の要因はたくさん潜んでしまっているものです。

まだ深刻な症状が出ていなくても、なにか気がかりなことがあれば、ぜひママサロンにおいでくださいね。

温度変化と腰痛の因果関係はあるのか?!

余談ですが、秋冬など気温の下がる時期には腰痛になりやすいとよくいわれますよね。でもそれって本当に因果関係があるものなのでしょうか?

たしかに季節の変わり目には激しい気温変化などが起きがちで、身体がその影響を受けることは否定できないかもしれません。しかし、気温(とその変化)が、腰痛の直接的な原因になるとは考えにくいでしょう。

逆にいえば、気温の変化程度で、腰痛という身体の不具合が出てしまうことのほうが大問題といえるでしょう。

身体に歪みを蓄積する誤った姿勢を止めることで、腰痛になる確率はグンと下がりますし、自律神経も整いますから、各種不調も感じにくくなるはずです。「季節の変わり目だから、あるいは寒くなってきたから、腰には気をつけよう」というのではなく、普段から『正しい姿勢で1日を過ごし、1日に必要な栄養を摂り続ける』という生活上の基本ルールを守られていれば、一喜一憂する必要はなくなるのです。

季節の変わり目に腰痛が出るという方は、本当はその時期の腰の痛みだけでなく、常に不調を訴えておられるはずです。その原因となるのが、姿勢の歪みや生活習慣の乱れ、そして偏った食生活といった日常生活の問題なのです。本当に基本的なことではありますが、多くの人が注意を十分には払えていないと私には思えてなりません。

多少の心がけを続けるだけで、健康で快適な生活は手に入ります。明日からとはいわず、今日から姿勢、運動、食事の習慣を見直してみましょう。

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