「肩甲骨はがし」で首痛・肩コリ・頭痛が改善されるって、ほんと?
みなさん、こんにちは! 理学療法士の青山遥(アオヤマヨウ)です。
約12年間の総合病院での理学療サロンAOYAMA STYLE(当初の店名は「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」でした)を営んでおります。
「快適な生活は正しく食べて、正しい姿勢から!」をモットーとして、姿勢の修正や運動療法(いわゆるリハビリ)、そしてその方の職業や生活にあったセルフケア指導を行うことで、お客様に元気になっていただくお手伝いをしております。
肩甲骨ってどんな風に動いているの?
今日のテーマは肩こり、首痛と肩甲骨のエクササイズについてです。
ここ何年もの間、巷では肩甲骨のエクササイズが流行っています。「肩甲骨はがし」って聞いたこと、ありませんか? 整体師さんのYou Tube番組などでは本当に頻出のキーワードになっていますよね。
もちろん実際に肩甲骨をはがせるワケもなく、肩甲骨周りのコリ固まってしまった筋肉が、首や肩の不快症状を引き起こし、肩甲骨が自由に動けないくらいになっていたりするので、そういう状態を解消することを「はがす」と表現しているだけです。
しかし、『首、肩の痛みは肩甲骨がちゃんと動けていないからで、そこを動かせば一挙解決!』といったこの風潮は、少々安直すぎるようです。
たしかに考えの方向性は間違えてはいませんが、理学療法士の観点からみれば、首痛、肩こりの対策として、肩甲骨ケアの優先度は低めです。もっというと、脊柱や骨盤といった部分をケアして、最後に取り掛かるべきなのが肩甲骨なのですよ。
肩甲骨には、他の骨とは違った「特殊性」があることがその理由です。
肩甲骨は他の、他の骨と比べて、動くことができる方向がとても多いのです。
これを理学療法用語では「自由度が高い」などと評したりするのですが、肩甲骨は解剖学的には、肩甲骨は「肩鎖関節」という小さな関節で、胴体とつながっています。
しかし実際は「宙に浮いたような状態」で背中に位置しているといったらよいのでしょうか。宙に浮いたような状態でいられるのは、多くの筋肉が肩甲骨に付着し、それを支えているからなんですね。
逆にいうと、それらの複数の筋肉が肩甲骨の位置を決めていると言ってよいと思います。
肩甲骨の周りはどうなっているの?
ここからが一番伝えたいところです。
肩甲骨についている筋肉の多くは、背骨や鎖骨に多く連結されています。しかし、それらの筋肉の多くが、脊柱にくっついているため、背骨=脊柱の状態が肩甲骨の状態を決めていってもよいのです。
ほかには鎖骨・肋骨、さらには骨盤の位置関係までもが、肩甲骨に大きな影響を及ぼします。
まとめると、肩甲骨のエクササイズは、一時的な首痛や肩こりなどの症状の緩和にはとても良いといえますが、あくまで一時的な首や肩の不調の対策です。
少なくとも、当サロンや医療機関を受診しようかな……と思うような重度の、あるいは慢性化してしまった肩こり、首痛で悩んでいる方は、肩甲骨「だけ」のエクササイズを行ったところで、その効果は一時的なものにとどまります。要するにそれだけしていても、基本的には「治せない」ということです。
どの部分からのケアが効果的なの?
多くの患者さんの場合、肩や首など、肩甲骨エクササイズの対象となる部分だけが悪いわけではないのです。身体のベースである脊柱や骨盤がすでに歪んでおり、肩こりや首痛にとどまらない問題症状が発生してしまっているケースが圧倒的多数なのです。
それゆえ、優先順位からいって、脊柱や骨盤のケアから始めるほうが実は得策なのでした。理学療法士である私は患者さんを、根本的な改善へと導きたいといつも考えています。肩甲骨のケアをするにせよ、世間で考えられているように、『肩甲骨を動かして問題症状を治す』のではなく、『肩甲骨が動きやすいように、身体を整えて、症状を治すべき』という考えのもと、施術しております。
首痛、肩こりを訴えられるお客さまにも、骨盤、脊椎といった重要度の高いセルフケアから提案しています。こうして、身体のベースが整ってはじめて肩甲骨のセルフケアを提案する順番となります。
もっというと、肩甲骨のセルフケアをレクチャーする前に、頭痛・肩こり・首痛といった症状が改善してしまっているため、肩甲骨のセルフケアをお伝えする必要もなくなっているケースのほうが圧倒的多数なのでした。本来ならば身体のベースが完成してからこその肩甲骨エクササイズなのです。
脊柱や骨盤を整え、身体のベースを作っていく事がいかに重要であるかをおわかりいただけるかと思います。
人の身体はまさに神秘的。興味がつきない小宇宙であると、みなさんにも気づいてもらえると嬉しいです。
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