【後編】高齢者に起こりがちな障害(腰痛・膝痛など)TOP5
本記事は『【前編】高齢者に起こりがちな障害(腰痛・膝痛など)TOP5』に続く後編記事です。是非前編からご覧いただければと思います。 |
みなさん、こんにちは! 理学療法士の青山遥(アオヤマヨウ)です。
「快適な生活は正しく食べて、正しい姿勢から!」をモットーに練馬区・豊島園で理学療法サロン『AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)[旧店名:mamasalon aoyama]』を営んでおります。
前回から、高齢者の方が抱えがちな身体的な問題TOP5を、ランキング形式でご紹介しています。
順位 | 症状 |
1位 | 姿勢の歪み、崩れによる慢性不調 |
2位 | 膝の痛み |
3位 | 指先の痺れ |
4位 | 骨折 |
5位 | 糖尿病 |
前回は主に、姿勢の歪みから起きる「2位:膝の痛み(変形性膝関節症の予備群)」とそれに起因して二次的な弊害として起きる「3位:指先の痺れ(頚椎症の予備群)」について理学療法士の経験を踏まえてお話いたしました。
今回は、ランキングの「4位:骨折」「5位:糖尿病」についてお話していきたいと思います。
骨折の原因は「栄養バランス」の悪化?!
a | 胸・腰椎(≒胸と腰の骨の)圧迫骨折 |
b | 大腿骨頸部(≒脚の骨)の骨折 |
「骨折」とひとくちにいっても、高齢者が患ってしまいやすい骨折は上記2つに分類されることがほとんどです。
「胸・腰椎圧迫骨折」「大腿骨頸部骨折」ともに栄養バランスの悪化が原因となり、もろくなってしまっている胸や腰、脚の骨が転倒したことで、ボキッと折れてしまった状態です。
共通するのは、骨粗鬆症の患者さんにありがちという点です。
転倒と書きましたが、高齢者の場合、ハデに転ばなくても、ひどい場合はクシャミ一発で骨折する方もいれば、尻もちでも折れてしまうケースもあります。もっと謎なのは、いつ折れたかさえわからないまま、「胸・腰椎圧迫骨折」になっているケースも……。 |
骨粗鬆症にならず、骨の健康を守るには、当サロンの座右の銘である
『正しい姿勢で1日を過ごし、1日に必要な栄養を摂り続ける』
ことが大切です。
高齢者は筋力の低下が顕著であることもあり、バランスが不安定な状況で生活しています。つまり、転倒リスクが高いのです。そこへ転倒を含めて何らかの衝撃がきっかけとなって、簡単に骨折へと繋がってしまうのです。
そうそう、圧迫骨折とはなんぞや?という方もおられるでしょう。
外部からの衝撃によって、たとえば脊椎(せきつい)など、小さな骨が重なり合っている部分の一箇所(もしくは数箇所)が、衝撃によってつぶれてしまったケースを「圧迫骨折」といいます。
全体的に潰れるケースのほかに、片側だけが潰れるケースもあります(たとえば、脊椎の側彎変形に伴う、椎体(ついたい)への負担が一局に集中し続けたことが原因)。
このような疾患になりやすいのは、先述したとおり
- 『転倒リスク』が若い世代よりも高い
- 『骨粗鬆症』といった骨密度が低い
上記2点に起因して、骨が折れやすい状態になっていることが挙げられます。
筋肉の減少が身体の機能低下も引き起こす「サルコペニア」とは?
業界用語で『サルコペニア』という言葉があります。サルコペニアは、「筋肉」と「喪失」を意味するギリシャ語を組み合わせた造語です。加齢が主な要因で、65歳以上の高齢者の1〜29%に該当するといわれています。
筋肉が減ると何が起こるのか?というと、実は身体の機能までもが低下してしまうのです。たとえば、
- 握力の低下(男性26㎏未満、女性18㎏未満)
- 歩く速度の低下(0.8m/秒以下)
…などなど。
検査で筋肉量が基準より減少していることが認められた患者さんはサルコペニアと診断されることになります。
では、このような加齢による身体機能・心身機能の低下に起因したサルコペニアにならないためにはどのような対策が必要なのでしょうか?
一番の対策は日常生活での『運動』と『食事』です。
運動と聞けば、日常から体を動かして身体を鍛えること、つまり筋や骨に適切な『負荷』を与えることで予防できると考える方も多いでしょう。しかし、実はそれだけでは不十分なのです。
大切なことは身体に適切な負荷をかけて鍛えると同時に、いかに良い姿勢を保ちつつ、正しい身体の動かし方を身につけられるか、です。
具体的には『負荷』とその負荷をかける方向性(ベクトル)が大切になってきます。
たとえばスクワット。
自重=身体にかかった重力を『負荷』にして膝周り、お尻周りの筋力強化を図りますが、やり方を間違えると、つまり負荷のかかる方向を間違えると膝や腰に痛みが生じ、『故障』へ繋がります。肝心の膝周りや、お尻周りの筋力強化効果はありません。
どんなエクササイズや日常の動作もただ、それっぽい動作をやればいいのではなく、そのひとつひとつの動作の『質』を上げていくことで、疾患やサルコペニアなどの『予防』だけにとどまらず、皆様の生活の質『QOL』の向上へと繋がるのです。
是非とも運動の『量』『頻度』だけでなく『質』に着目していただければと思います。
重要なのは「バランス」の良い食事
そして忘れてはならないのが食事という要素です。
巷では、骨粗鬆症にはカルシウムがいい、腸内環境にはビフィズス菌がいい、肌荒れにはビタミンがいい、筋肉をつけるにはタンパク質だよね、といった『ある症状や解決したい課題にたいして、特定の栄養素を摂ることを勧める』といった傾向があります。
しかし、これでは不十分です。
確かにひとつひとつの栄養素はとても大切ではありますが、この考え方だと、栄養素が偏りがちで、結果として必要な栄養素を十分には吸収できない状況に陥るのです。
栄養の基本にもなりますが、まずは5大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質、そしてビタミン、ミネラルがバランス良く取れているのか?
それと同時に1日に必要な水分は摂れているのか?
といった観点を重視し、身体のベース作りから始めることをお勧めします。
それを意識するだけで、「5位:糖尿病」のリスクはずいぶんと減らすことができます。そうすることで、糖尿病を基礎疾患とした症状……たとえば、糖尿病性神経障害、慢性腎不全といったものに苦しめられることも少なくなります。
詳しくは、本コラムの下記カテゴリをご覧ください。 ・「栄養」カテゴリ ・「ダイエット」カテゴリ |
そもそも、バランスの取れた栄養を摂り、体内の栄養バランスが整うことで初めて身体が必要としている栄養素の吸収率が上がるのです。
ちなみに、ダイエットに失敗なさる多くのお客様は、「偏った栄養摂取によって一時的に体重を減らしている」方が多いように見受けられます。
いっけん成功したかに見えるダイエットも、栄養摂取法が改善されなければ気づけば元通りになってしまっており、リバウンドや体調不良に悩むことになります。
ですから、ダイエットの前にまずは、栄養バランスについて学ぶべきなのです。そして、ダイエット以前に、サルコペニアや、糖尿病を代表する症状(糖尿病性神経障害、慢性腎不全)の予防という観点からも、まずはバランスの取れたお食事と水分摂取を守ってみてください。
当サロンはダイエットカウンセリングも実施しておりますのでお気軽にご相談ください! |
今一度、ご自身のお食事内容を見直し、バランス良く各種栄養素が摂れているかを、ご確認いただければと思います。
『正しい姿勢で1日を過ごし、1日に必要な栄養を摂り続ける』
これが当サロンのモットーであり、この教えを広めることで、皆様の健康に貢献できると信じております。
本日もありがとうございました。
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